70年代研究所

70年代~80年代!あの時代にタイムスリップ!

1976年の松田優作

1976年3月。松田優作は窮地に陥っていた。

暴力事件で、懲役10月、執行猶予3年の有罪判決を受け、謹慎していたのである。

 

事件のあらましはこうだ。1年前の1975年7月、中村雅俊とダブル主演のテレビドラマ『俺たちの勲章』のロケが鹿児島で行われ、夜に打ち上げが開かれた。場所は、鹿児島最大の繁華街・天文通り。

明け方まで仲間と痛飲していた優作は、一緒に飲んでいた女性を送っていこうと店を出る。その時に事件は起きた。女性と優作が口論していると勘違いした通行人が仲裁に入り、その男性を優作が暴行したのである。

優作からしたら、「酔っぱらって騒いでいるところに、からんできた奴がいたからボコボコにした」といったかんじなのかもしれないが、相手の怪我は全治3カ月。途中から優作の連れの俳優が加勢した為、話も怪我も大きくなる。

さらに相手の男性が19歳の予備校生だった為、「暴力俳優ふたりが、寄ってたかって未成年に暴行」ということになってしまったのである。

 

翌1976年1月、優作は警視庁新宿警察署に逮捕される。必殺シリーズの流れを組むテレビ時代劇『隠し目付参上』に出演予定だった優作だが、クランクイン直前にこれを降板(代役は沖雅也)。同年3月には有罪判決を受け、謹慎生活に入る。

しかし、昭和という時代はすごい。たった3か月で優作は復帰。主演映画が公開される。つまり、「テレビドラマを1本降板したから禊は済んだ」ということだ。今では考えられない寛容な時代である。

しかも暴力事件後、復帰映画のタイトルは『暴力教室』!! こ、これは大丈夫なのか? しかし、暴行を受けた予備校生の痛みなどまったく考えず「優作すげえ! 全然変わってねぇよ!」とファンのガキは喜んだ。だいたい暴行事件が発覚した時も「優作やっぱ強ええ!」くらいの反応だったのである当時のガキどもは。(俺もw)

 


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暴力が支配する地獄の学園に転任してきた体育教師(優作)が、不良グループ(クールス)と激突。リーダーの舘ひろしとバチバチに殴りあう映画。

 

優作はさらに、臆病な侍役で時代劇初主演となる映画『ひとごろし』を公開。アルバム『まつりうた』で歌手デビューまでしてしまう。

翌1977年、1年ぶりにテレビドラマ『大都会 PARTII』に出演し、優作は完全復帰する。この時の役柄・徳吉刑事は、大卒のインテリという最初の設定が幻だったかのような暴力刑事で、ファンのガキどもを狂喜乱舞させる。一部では、代表作『探偵物語』工藤ちゃんより、徳吉刑事の方がもっと好き! というマニアまでいるのである。(俺かw) 本筋は普通の刑事ドラマなのに、優作のアドリブが満載。主演ではない気楽さからか、肩の力が抜けていて、渡哲也との共演を心底楽しんでいるのが伝わってくる。

 


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この年には、話題の角川映画『人間の証明』にも出演した優作は、スーパースターへの道を歩み始めることになる。コンプライアンスという概念のない昭和時代だからこそ、何事もなかったかのように乗り切れた復活劇。それがいい事なのか、だめな事なのか、よくわからないが、ファンが大喜びだったのは間違いない。それにしても暴力事件の後の復帰映画が『暴力教室』で、復帰ドラマの役が暴力刑事って、ほんとにすごいと思わざるを得ない。昭和も優作も思い出しかなくなってしまったが、あの時代を象徴する、ひとつのエピソードなのであります。

 


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